参加者が自由に回遊できる会場づくりで、
より活発なオンライン研修を実現

国立大学法人熊本大学

説明会・展示会/育成・オンボーディング

導入前の課題
  • コロナ禍の休校に対応したオンライン研修会に全国から参加者が急増した
  • 話が一方通行になる、参加メンバーが固定される従来のWeb会議ツールに不満がある
  • 興味のある議題を自由に見て回れる仕組みをつくり、意見交換を活性化したい
選んだ理由
  • オンライン研修会の試験運用で狙い通りの効果が出た
  • 直感的に操作できるデザインと必要な機能が揃っている
  • 複数のルームバブルを思い通りに動き回れる自由度の高さ
成果・効果
  • 色使いが明るい、自然な会話が成立しやすいなど参加者の評判は上々
  • 参加者からは実際の授業や学生のグループ活動でも活用したいといった声も
  • 100人以上が参加する本番の研修会に向けた効果的なNeWork活用を模索

新型コロナウイルス感染症が収束し、日常が戻ったいま、当時の騒ぎはすでに遠い昔の出来事のように思えるかもしれません。しかし、コロナ禍で対面での会議やミーティングが制限されたことから、いっきに普及したWeb会議ツールは、場所を選ばず会議に参加できる利便性の高さから、いまなおさまざまなビジネスの現場で活用されています。とはいえ、まだまだ対面での会議に比べると話が一方通行になりがちなことや、参加メンバーが固定されることなどでストレスを感じることがあるのも事実です。

熊本大学大学院、教育学研究科では1999年より県内の小中、特別支援学校の教員を対象にITの利活用をテーマとした研修会をほぼ毎月開催しています。普段からWeb会議ツールを使ったオンライン研修を開催していたものの、「Web会議ツールに飽き始めていた」と語るのは、情報教育研修会を立ち上げ、長年にわたり運営してきた熊本大学名誉教授、塚本光夫さんです。

「一般的なWeb会議ツールは、会議のグループが固定されるので、Aグループの参加者はBグループの話を聞くことができません。これが自由で活発な意見交換を妨げていたのです。しかも、ツールの多くがビジネス向けの設計になっているため、なんとなく暗い色調、会社の組織を封じ込めたようなフォーマル、悪く言えば堅苦しい雰囲気に不満がありました。我々としては、もっとこぢんまりとしてもいいので、明るくオープンな学会のような雰囲気を感じさせるツールで研修会を運用したいと考えていました」(塚本さん)

そんな塚本さんのまわりで、予測していなかったまさかの出来事が発生したといいます。

熊本大学ロゴ

国立大学法人熊本大学について

1949年に発足した総合大学。知の創造、継承、発展に努め、知的、道徳的及び応用的能力を備えた人材育成により、地域と国際社会への貢献を目指している。

導入前の課題全国から参加者が殺到した
オンライン研修会の運営をどうする?

熊本大学は1887年に設立された長い歴史と伝統を持つ総合大学です。同大学の大学院、教育学研究科では学校教育の現場や教育委員会と密接に連携、初等・中等教育を牽引する人材養成に取り組んでいます。同科では、1999年より県内の小中、特別支援学校の教員を対象にITの利活用をテーマとした研修会をほぼ毎月開催していましたが、コロナ禍を機に状況が一変したといいます。

「それ以前から研修会を開催していたのですが、2020年を境に参加者が急増したのです。通常は平均40人程度だったものが、いっきに7倍、日本全国、海外も含めて286人の参加がありました。正直、こんなに増えるものかとびっくりしました(笑)。おそらく、コロナに伴う遠隔授業が必須となり、多くの教育関係者が切羽詰まった状況にあったことが原因でしょう」(塚本さん)

2020年にコロナ禍による休校に対応し、全国に先駆けて開催した「遠隔授業で何ができるか」を始め、塚本さんはオンラインで9回、対面で1回の研修会を開催しました。とくに告知を行わなかったものの、参加者数は延べ1,238名、各回平均137.6名にも達しました。翌年もほぼ同数の参加者を集めた取り組みが高く評価され、2021年にデジタル社会推進賞デジタル大臣賞「銀賞」を受賞しています。

「私たちの研修会は“来るものは拒まず”のスタンス、毎回無料で開催しています。ただし、講演を聞くだけではなく、講演後のパネルディスカッションへの参加が必須です。少人数のグループに分かれて議論し、各自が新たな情報を持ち寄り・持ち帰るスタイルでやっています。コロナが落ち着いてからは、対面の研修の模様をオンラインの参加者に配信するハイフレックス運営※1に切り替えていましたが、ここにきて研修で使っていたWeb会議ツールに対する積年の不満を我慢できなくなりました(笑)。当時、参加者が興味のあるグループを自由に行き来できるポスターセッション※2を研修会で開催したいと考えており、そのためには途中でグループを抜けて別グループのディスカッションに参加できない従来のWeb会議ツールでは機能が不十分、新たなサービスの導入が必要だったのです」(塚本さん)

※1:ハイブリッドフレキシブルの略、対面およびオンラインから自在に参加方法を選択できる形式
※2:複数の発表者が研究開発の成果などを1枚のポスターにまとめ、発表参加者が興味のあるテーマを自由に回遊できる形式

選んだ理由自由にグループを回遊して意見交換できる
NeWorkなら研修が活性化できる!

リアルな展示会やイベントなどでは、参加者が現地に赴き、興味のあるブースを自由に歩き回って情報を集め、質問を投げかけ、意見を交換します。これをオンラインで実現する手段が、オフラインでも利用されることの多いポスターセッションだったといいます。「オンラインで開催する以前からの課題だったのですが、これまでの研修会では講演後に行う質疑応答で質問者に偏りがありました。ベテラン参加者の質問が多くなり、若手参加者が割って入りづらい雰囲気になるのです。この問題を解決するために少人数のグループで議論するパネルディスカッションを開催するようになり、それを発展させたものがポスターセッションです」(塚本さん)

ポスターセッションに適したサービスの情報収集を開始した頃、塚本さんは市が開催する産学官連携会議に出席します。そこでオンラインでのポスターセッションに対応できる可能性を持つサービスに出会いました。「市の教育委員会が運営する不登校児童生徒の学習、社会的自立をオンライン上で支援するプラットフォームに採用していたNeWorkを使えば実現できるとひらめいたのです」(塚本さん)

「NeWork」とは、NTTコミュニケーションズが提供する、ロケーションを問わず参加者同士が音声、ビデオ、テキストで自由にコミュニケーションできるサービスです。直感的にわかるデザインとシンプルな機能で、誰にでも簡単に使い始められるのが特長です。 参加者はログイン後にワークスペースと呼ばれる空間(画面)に入り、そこにあらかじめ複数備えられたルームバブルと呼ばれる仮想的な会議空間でコミュニケーションを行います。これにより、参加者は会場を見渡してメンバーが集まるルームバブルに入り、話を聞いて質問し、終わったら次のルームバブルに移動するリアルな展示会のような行動ができるようになります。まさに塚本さんのイメージするポスターセッションを実現できるサービスでした。

「その他、複数のサービスを比較検討しましたが、多くが企業などのビジネス寄りのサービスだったため雰囲気が堅く、しかも人数制限があるなど200人近くが参加する研修会では使いづらい印象でした。最終的に2つのサービスに絞って40人限定で試験的に研修会を開催したのですが、一方のサービスは海外にサーバーがあるせいか、反応が悪く、とても使いものになりませんでした。同じような条件でNeWorkを使ったところ、とくに大きな問題もなく無事にポスターセッションを開催できたのです。研修会の参加者からの反応も上々、ほぼ狙い通りの成果が出たため正式に導入を決めました」(塚本さん)

「誰しもWeb会議ツールを使った会議は集中力が続かず、気がつけば別のことをしていた経験があるのではないでしょうか。私もそうです(笑)。うちの研修会の参加者には人のアウトプットは自分のインプット、自分のアウトプットは人のインプットだと伝えています。Web会議ツールとは異なり、NeWorkなら同じ時間と空間が共有でき、空間の移動も自由にできます。まるで隣にいるような感覚で参加者と話し合えたり、興味のあるテーマでグループをつくったりできるので、もっと研修会を盛り上げていきたいと思っています」(塚本さん)

熊本大学名誉教授 塚本光夫さん

成果・効果自然な会話、自由な意見交換ができる
ポスターセッションが評判に

2023年10月に「バーチャル空間で学ぶ〜実験的オンラインポスターセッション〜」をテーマにオンライン研修が開催されました。はじめてNeWorkを利用することもあり、混乱を避けるため、最初に別のWeb会議ツールで使い方をレクチャーしてから、NeWorkによるポスターセッションがスタートしました。その甲斐もあり、参加者は3人の発表者が1人ずつ入ったルームバブルを、興味の赴くまま自由に回遊して活発な意見交換ができたといいます。「参加者からも白い背景と明るい配色で全体を見渡せるので圧迫感がない、自然なやり取りが成立しやすい、近くで話をしている気になれるといったポジティブな声も多く、かなり満足度の高い研修会になったと思っています」(塚本さん)

ポスターセッション時の「NeWork」画面
ポスターセッション時の「NeWork」画面

さらにNeWorkに触れた参加者からは、実際の授業や学生のグループ活動などでも活用したいといったアイデアも出るほどでした。「私の研修会が目指しているのはオンラインでの教員研修です。極端な話、PCやタブレットといったIT機器の操作は必須のスキルではありません。子供たちの方が操作には詳しいですし、友達同士で使い方を教えあい、ときには裏技を使いこなすこともあるからです。

むしろ重要なのはITを授業などで活用するアイデアです。その想像力を掻き立てる、ヒントになる気づきを得る機会としてオンラインの教員研修を続けています。今後は小学校、中学校、特別支援学校の教員別にルームバブルを用意する、あるいは役職別のルームバブルを立てるといった活用を想定しています。実は研修会に立ち上げから参加する生え抜きのメンバーは、いずれも校長先生です。若い先生が入りづらいようであれば、ルームバブルを別に立てればいいのです」(塚本さん)

コロナの収束により、いまでは対面での研修会が開催できるようになりましたが、塚本さんは今後も対面とオンラインの研修を同時開催するハイフレックス運営を継続する意向です。「全国の都道府県で教員研修のスタイルを模索されていると思いますが、面積の大きな県では簡単に人を集めることはできません。熊本でも天草あたりから参加するとなれば車で往復3、4時間はかかります。より多くの参加者を集めたいのであれば、オンライン研修の開催は必須といえるのではないでしょうか」(塚本さん)

好感触だったポスターセッションのテスト運用を受けて、塚本さんは最大50人が利用できる「Team50」から最大300人が利用可能な「Team300」へとNeWorkのプランをアップデートしました。すでに本番の研修会に向けた準備は完了しているといいます。「運営側も参加者側もNeWorkに慣れることが先決ですが、じっくりと効果の出る新たな使い方を考えたいと思っています。あくまでもNeWorkはツールであり、いかにうまく使いこなすかのアイデアこそが教育の現場と同じく重要なのです」(塚本さん)

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